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LIFE LIKE LIVE 講評会ゲストによる選評

本年より新設された音(おと)部門「LIFE LIKE LIVE」では、ノンジャンルで集結した参加者27組と、ライブゲストに「たんきゅん」と「さいた☆まんぞう」による、幅広い音を感じさせる実験的なステージを開催致しました。
記念すべき第一回目となる受賞作品の選評を掲載いたします。受賞者の2組には、2014年度に、3331を舞台に単独公演を実施していただく予定です。

<講評会実施日>
2013年10月20日(日) 13:00~19:30
ゲスト審査員/伊藤ガビンさん、岸野雄一さん、桜井 順さん

岸野雄一 賞:海藻姉妹 「海藻サラダ」

選評:岸野雄一(スタディスト)
これまで審査員というような、選出にたずさわる役目を断ってきた私が、今回なぜ引き受けたかというと、講評会というイベントが白紙に近い状態でスタートした事から、自分が企画のアイデアを出して参加できる要素が多かった事。そして優秀作品を選出するのではなく、自分の名前が冠された賞を授与するという形式であったことからです。上記の理由により、とてもフレッシュな気持ちで参加できました。とにかく第一回目というのは特別な意味があって、大抵のコンテストって、固定されたイメージが先行してあるものですが、本当に多種多様な応募者による表現を目の当たりにする貴重な経験となりました。昨今、音楽界はジャンルの棲み分けが加速し、それがつまらなさの一因になっています。願わくばこの千代田芸術祭・音部門は、それを打破するような機能を担い続けて欲しいと思っています。

桜井 順 賞:野村洋祐 「NOMURA YOU」

選評:桜井順(作曲家/作詞家)
え−、27人(組)のパフォ−マンス、それぞれそれなりに、オモシロかった。ま、当然ながら、ほとんどが、囓りかけリンゴ印のラップトップ頼り。ソレを使いこなすデジタル・テクニックは、アナログ世代から見ればオドロキ。ただ、生まれた時からソレが日常の中に有る世代は、「コレハナニカ?」と自問する段階を省略して一気に馴染んでしまっている。ソコがモンダイ。つまり、これはケイタイやスマホと一緒で、ニンゲンはメカを「使っている」つもりでも、実はメカ全体の「システム」に「コキ使われ」ているのではないか?という警戒心がまるで無い。これは、最近イロンナところで引用されることの多いジョ−ジ・オ−ウェルの「1984年」の世界のコワサにツナガル。そこから見ると、メカ頼りのパフォ−マンスはスベテ、音、乃至はオンガクとの「平和で中途半端」なナレアイに見えてくる。そんなところから、NO18 野村洋祐サンのかなりシツコイ「サウンド・インスタレ−ション」が、デジタル世界全体への自爆的テロ・アクションに見えてしまったのだ。恐らくはボクのオモイスゴシで、ご当人にはそんな意識は無かったのかもしれないが。でも、「ムイシキのイシキ」ほど強力なものは無い。次回ステ−ジでの健闘を祈る。