今年で3度目の開催となる「おどりのば」は、ジャンルにとらわれない自由な身体表現を実現する場をめざしたパフォーマンス部門です。本年は34組の方が参加し、2組がスカラシップ受賞となりました。今回のゲスト審査員による選評を掲載いたします。受賞者の2組には、2014年10月末日までの間の30日間、2階体育館を稽古場として使用していただきます。また同年に、3331を舞台にスカラシップ受賞者による単独公演を実施予定です。
<講評会実施日>
2013年9月29日(日) 13:00~17:00
ゲスト審査員/KENTARO!!さん、桜井圭介さん
選評:KENTARO!!(ダンサー・振付家/東京ELECTROCK STAIRS主宰)
今回審査をさせて頂いて思ったのが3~5分という時間でどれだけ次の展開を見届けたいか、という事でした。
副賞が会場提供という事もあり、やはり長尺の作品が見たいかという所を気にした気がします。
本当はそんな事を感じさせない強烈なものが良いと思うのですが、そこまでの強度のものはなかったと思います。
受賞した激弾F本は続きを見てみたくなる構成で、一番興味が湧き選出しました。他には政岡由衣子、かえるP、Cュ タツヤ、パタコーパス等が印象に残りました。個人として考えたのが、ただ踊りたいだけなのか、評価されたいのか、パフォーマンスを続けていく覚悟があるのか等、沢山の事でした。
僕自身もとても勉強になった、「おどりのば」でした。
選評:桜井圭介(音楽家/ダンス批評家)
さまざまなジャンルの「ダンス」を同一平面で観る、それが「おどりのば」の良さであり正しさであることは間違いありません。けれども、これだけ沢山の応募がありこれだけ多様なダンスが並んでいるのに、総じて「既視感」が強いのが残念な気がしました。その点で、トムスマ・オルタナティブさんは、ずば抜けて「未知の表現」だったのです。こんなもの見たことない!ていうか「意味不明」なんですけど!という。もちろん、「お茶席」の形式・構造を用いたパフォーマンス、とか説明すればいいのかもしれませんが、そう聞いて想像するようなスタティックなイメージからは遠く、むしろすこぶるグルーヴィなのでした。とはいえ、「茶の湯」の主人と客の関係は、通常のパフォーマンス上演における演者と観客の関係とは異なる、見えざるインタラククティブ性があり、その「もてなすーもてなされる」感が、たしかに上演に感じられ、それがどういう仕組みでそうなってるのか不思議なのでした。うーん、これはまた観たい、体験したい、ということで選ばせて頂きました。